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日々の、句読点。



甦る全日本女子バレー

こちらはきものとは関係のない読書の記録です。
会社の同僚さんからお借りしたのですが、久々に読んでいて胸が熱くなりました。

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「蘇る 全日本女子バレー~新たな闘い~」
2004年4月19日 初版発行
著者 : 吉井妙子
発行所 : 日本経済新聞社 ¥1,400-

2003年全日本女子バレーは、それまであまりバレーに興味のなかったわたしさえ
目が離せなくなるほどの強烈な輝きを放っていました。
オリンピック行きこそ果たせませんでしたが、今でも選手たちの笑顔、そして涙は
記憶の中で色あせることはありません。
本書は全日本チームの選手ひとりひとりにスポットをあてることで、
柳本ジャパンの軌跡を鮮烈に描き出しています。

わたしが個人的に惹かれた選手は、控えのエース佐々木、キャプテン吉原、
当時19歳の栗原でした。
中でも佐々木に関してはあの男性よりも凛々しい姿には同性ながら惚れてしまいましたね。
レオ様すてき~!

ミーハー的な気持ちで読み始めましたが、読み終えて一番印象的だったのは
吉原選手のバレーにかける真摯な情熱とその彼女について語られたメンバーの言葉。

「自分の人生の中で、バレーのことしか考えない時期があってもいいんじゃないか。
朝起きたときに、オリンピックに行くぞと目覚めるくらいに、
バレーに集中してもいいんじゃないか。
そんなトモさんの言葉を消化できてから、一日一日が濃かったし、充実していた」
(杉山選手)

「『私はいつバレーができなくなってもいいように、常にその時を大切にやっている』
と言われたんです。その言葉を聞いたとき、改めてすごい人だと思ったし、
私もこれから一瞬一瞬を大切にしながら、バレーに取り組んでいこうと思ったんです」
(栗原選手)

選手達の練習時間はほぼ9時から5時まで。
個人の技の練習をしようと思ったら早朝練習をするしかないという。
吉原選手は自ら率先して早朝のコートに立ち、自分の背中を若い選手達に見せることで
チームを引っ張っていった。
ほんとうに「一日中バレー」の生活だ。
わたしはこれを読んで、やっと何故彼女達の試合に勝ったときの笑顔が輝いているのか、
何故負けたときにあれほど感情をむきだしにして涙することが出来たのかが
わかったような気がした。

本気でやっているから。
自分の限界を超えてまでバレーに打ち込んできたから。
必死の努力に裏打ちされた笑顔であり、涙であったのだ。

一体、私自身を振り返って何かに「必死でがんばった」と
胸を張って言えることがあるだろうか?
部活だって受験勉強だって仕事だって、それなりに精一杯やってきたつもりだが、
それはあくまでも「自分で設定した限界」の範囲であったように思う。

「勝負の世界に生きるなら、世界のトップを目指すのは当たり前。
それが世界で勝てなくなった途端に、アジアで一番を目指すとか、韓国には勝つとか、
目標設定がチマチマしてきたために、選手もバレーを取り巻く環境も、
縮小スパイラルに陥ってしまったんだと思いますよ。
勝負事は、常に言い切らないとあかん。言い切ったら、
そこに向かって全身全霊を注ぎ込み、急な坂だろうが、高い山だろうが、
汗をびっしりかいて登りきることが大事や」
こんな柳本監督の言葉がある。
常に目標は頂点を目指す。
自分に出来そうなことしか目標にできないようでは、
小さくまとまって羽ばたくことができない。

「必死で努力する」
この言葉が風化しつつある現代。
入れ込みすぎず、適当に。
自分が傷つかないように。
そんな時間を漠然と積み上げていって、一体なにが残るというのだろうか?

たとえ結果が出なかったとしても、必死で走った日々があった、その事実が
明日からの自らの心の糧となるだろう。
彼女達が私にくれたあの笑顔と涙を、これからも忘れずにいたいと思う。
by xxyasukoxx | 2005-12-21 19:54 | 本の虫
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上京して1年。さすらいOLのくらしの足跡。

by xxyasukoxx